朱 -aka- [ねこねこソフト]
壮大なスケール。説得力のある風景画と曲(英語の歌詞は全然ダメだったけどね・・)。
これは「銀色」の完結編にあたる。
オープニングムービーがチョーカッコイイ。
この「朱 -aka-」、「銀色」でかなり考えさせられたから期待をしていた。
まあ、ある程度期待には応えてくれたと思う。
願いを叶える「銀糸」の物語。「銀色」のイスナが大陸に渡った後の話である。
ただ、スケールを広げすぎたと思う。
色々な力を持った眷属たち。う~ん、ちょっとファンタジーにしすぎたよね。
「朱-aka-」には、「銀色」の特徴であった絶望感がない。でも同じテーマなんだから、その雰囲気を残してほしかった。場面設定が日本と西洋だからだろうか。「銀色」が短調なら「朱-aka-」は長調といったところ? とにかく雰囲気が違いすぎると思った。
銀色では、握り飯たった数個のために日々山道で人を襲い、殺す人間が登場する。そしてその人間の視点に強引に立たされる。そんな社会的にどうしようもない悪の存在であるはずの登場人物にも、あやめと会った後は、「ヒト」としての思いやりを持つ時があった。その相反する側面が、読んでいるものの心を動かす。
本当は誰にも迷惑をかけずひっそりと生きたい。
そして願いをかなえてくれるはずの銀糸も実はそこにある。
でも人生を諦めているこの2人には、願うものすらない。
願えばかなえられたであろうに、何も願わずにただ死んでゆく。
あるいは、自ら進んで人柱になろうとする少女。そしてそれをどうすることもできない主人公。その葛藤、むなしさ、やるせなさ。
そこに全ての願いをかなえる銀糸があるのに、わずかな幸せだけで満足して死んでゆく者たち。
銀糸の悲しさは、そこにあった。
しかし、「朱 -aka-」ではそのむなしさややるせなさが伝わってこない。「眷属の義務」 vs 「普通の人間としての幸せ」みたいな次元でその葛藤が描かれているからだ。
もっと直接的・原始的欲望としての葛藤で描写するべきだったと思う。
中近東という、極限の天候・地理条件を前提にしている訳だから、その葛藤はもっと直接的に描けたはず。
ところで中近東と言えば。
あの場所はおそらく中近東だろうと思われるのだが、どう考えてもヨーロッパになってしまっているところがどうしても違和感があった。
時代考証もメチャクチャだ。宿屋の調度品からしてそう。あんな、シーツをかけたベッドなんて昔の中近東にあるわけないじゃん。あれじゃホテルだよ。しかもあの家具じゃ、どんなに昔でもせいぜい17世紀頃?ちょっと研究不足。
登場人物の服装もおかしすぎる。機動戦士みたいな甲冑とか、メイドがメイド服着てたりとかさ。大体、砂漠に住んでる人たちは昔からターバンをしていたんだ。必要に応じてそれを解き、顔を砂と直射日光から守るためにね。とにかく、確かゲームやりながら逆算した時には、時代としてはルタでせいぜい13世紀か14世紀という結論に達した記憶がある。それがどう見てもあれじゃ近代だ。それも少し説得力を薄める結果につながったと思う。
ま、そういう背景画での細かいところで首をかしげるところはあったが、全体としてはかなりのめりこんでやってしまった事は事実。
それに背景画ではなく風景画のほうは非常に良かったし。BGMと共に、砂漠や灼熱地獄の雰囲気が非常に良く出てた。
「銀色」と同じようなストーリー構成で、話が前後しながら進むところは、「銀色」を意識させるものになってはいた。
最後のほうで「銀色」のテーマソングが流れた時は、背筋が震えたもんな。「おおおっ・・」ってな感じで。
しかし登場する4組の男女の話がやたらと前後し交錯しすぎたかもしれない。ちょっとついていくのが大変だった。「え、ファウ?えーとファウって誰だったっけ。あそか、薬師か。」てな具合。
そいえば水鏡やチュチュのその後がどうなったのかとか、結構気になる・・。
最後の石切の語りは、実は初めから予想していて、絶対に最後は現代で話が終わると思っていた。でも、その相手は篠崎あやめになるのかと思ってたし、そうなることを期待していた。それがちょっと残念。あそこがあやめだったらなあ。話として完結したと思うんだけどなあ。
ま、いいか。
「銀色」とセットで、時代と場所を越えた壮大なストーリーになっている。いつか自分も砂漠を足で越えてみたいとも思った。
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